第5 章 滝根町の洞穴はどうやってできたの?

1.入水ケイブシステム

大滝根山の南西斜面の「キッサ沢」が「猫じゃくし」と呼ばれる吸い込み穴から地下に入り、仙台平の下を通り入水鍾乳洞を作り、地上に現れて入水川となり梵天川に合流します。
入水鍾乳洞は昭和9 年に国の天然記念物に指定されている洞穴で支洞が少ない横穴吐出型(※)の洞穴です。照明は洞口から約100 メートル先の一休洞までですが、その奥はガイド付きで洞穴探検のおもしろさを体験できる日本では貴重な観光洞穴です。人が入れる距離は現在700 メートル位ですが、入水鍾乳洞最奥部からキッサ沢の水が吸い込まれる猫じゃくしまで直線距離で約900 メートルです。洞穴の総延長は直線距離の2 ~ 3 倍はありますので、入水ケイブシステムの総延長は3000 メートル以上になる可能性があります。
また、観光化されていない左洞(現段階50 メートル)は大雨が降ると増水し、旧洞口から大量の水が出てきます。本洞とは全く異なる水系ですが、その流入口は不明です。
※吐出型:洞口から地下水が流れ出るタイプ。

2.あぶくまケイブシステム

大滝根山南西端の沢が「つるべ落としの沢」です。この沢の上部では大きな水流はありませんが、鬼穴ドリーネに近づくにつれて小さな流れとなって、あぶくま洞東本洞洞口に流れ込みます。その後、地下ではほぼ西に約200m 直進し、あぶくま洞本洞の流れに合流します。そしてあぶくま洞洞口(観光洞入口)の近くで地上に流出し、左支梵天川となり梵天川に合流します。
あぶくま洞本洞は蛇行しながら南北に伸びる洞穴で観光化されているのは約600m ですが、その奥には2,500m 以上の洞穴が広がっています。
あぶくま洞の二次生成物(鍾乳石)は大きく発達し様々な種類があります。国内の一般公開されている鍾乳洞と比べると滝根御殿(高さ28.9m)にある20m のフローストン(流れ石)やシールド等の二次生成物は他では見ることができない大きなものです。東本洞の大多鬼丸ホールには幅20m 高さが90m以上もある巨大なホールがあり、ここには高さ日本一のフローストン(45m)があります。

3.あぶくま洞と入水鍾乳洞の発達の特徴

①地層に沿って洞が形成される。
②尾根の直下に洞が形成される。
③尾根を目指して、等高線に直角に洞が形成される。
⑤断層に沿って洞穴は発達していない。
⑥沢の下に洞は形成されない。

4.鬼穴とは?

長さ85m の横穴で、あぶくま洞東本洞洞口上部に開口し深さ51m の縦穴で東本洞と連結しています。
この洞穴には入り口から奥部までプールの蝕痕が壁面に刻まれていて、古い時代には安定した水面があったことを示しています。現在のあぶくま洞東本洞洞口付近と縦穴で連結していた痕跡も残っています。

第6 章 あぶくま洞・入水鍾乳洞の二次生成物って?

あぶくま洞の滝根御殿では、さまざまな二次生成物を見ることができます。二次生成物は地下水の中の石灰分が固まったもので、ほんの少し成長するのにも気の遠くなるほどの長い年月がかかります。

1.鍾乳石のいろいろ

「あぶくま洞はおよそ8,000 万年という時が育んでいるんだって!」
まず最初に、天井からつらら状にぶら下がった生成物があります。これは、「つらら石」といいます。天井から石灰分を含んだ水が落ちるとき天井に石灰分が残って大きくなったものです。つらら石の下には、つらら石から落ちた石灰分を含んだ水がはねます。この時に石灰分が残ったものは、筍状の生成物になります。これを「石筍」といいます。つらら石や石筍が伸びていってつながり、柱状になったものを「石柱」といいます。
石灰分を含んだ水が斜めの天井に沿って流れると、幕状の生成物ができます。これを「カーテン」といいます。床や壁に均一に石灰分を含んだ水が流れると、石灰分で覆われます。このようにして、「フローストン(流れ石)」ができます。水田のような畦を形づくる「リムストーン」、石灰分が粒の表面に付着してできる「洞穴真珠」もあります。

あぶくま洞では、このほかの二次生成物にはストロー、ヘリクタイト、洞穴さんご、シールド、ボックスワーク及びバーミュキュレーションが報告されています。
※天井から垂下するつらら状の石は『つらら石』です。よく鍾乳石といわれますが、鍾乳石とはすべての二次生成物の総称です。